[BlueSky:07116] 柄谷行人 RE: 力を入れて講義資料を更新したので

Takeshi SUKA sayasuka_380878 @ kce.biglobe.ne.jp
2023年 7月 8日 (土) 20:36:18 JST


中澤さん 青空メーリングリストのみなさん

暑さがつづきますね。
中澤さん、講義資料、拝見しました。
しっかり読み込んで、リンクの情報源もたどれば、すばらしい勉強になりそうです。

この講義資料、特に地球環境の資料であつわれているような話題は、
バブル世代でもあるわたしたちが学生だった頃には、
日本の社会ではマイナーな話題だった印象がありますが、
あれから40年くらいたって、変わってきましたね。

最近ではそれが、近代以来の資本主義の限界、
といったかたちで語られることも多い気がします。
とはいえもとより、中澤さんの公害についての講義資料にもあるように、
この問題は、近代の工業化とともにずっとつづいてきたことでもあるようです。

この40年くらいの間に、日本の社会で何が大きく変わったかといえば、
経済成長や人口増加といった近代化への上り坂がバブルとともに終わって、
いやおうなしに坂を下り始め、それがずっと終わらない
と多くの人が実感するようになったことでしょうか。

SDGsもそうですが、環境とともに、社会、経済のあり方を考え直すことが、
違和感なく受け入れられやすいと感じられるようになってきた気がします。
地球環境の限界と近代的な経済成長の価値観の限界を知って、
どんなふうに次をつむいでいくのか、それについて考えることがつきません。

そんなことを思いながら、最近読んだ本や見た映画についてお話ししようかな、
と考えてパソコンに向かったのですが、すでにかなりの無駄話です。

かつて先鋭的な文芸批評家として知られ、最近では哲学者として名高い
柄谷行人の本を、30年ぶりくらいに最近読んだら、以前のイメージと違って
思いのほか最近の自分の関心領域に近く、面白く感じました。
そんなことを書こうと思ったのでした。

1990年に南インドをバックパッカー旅行したとき、
途中カゼをひいて熱を出して安宿で寝込みながら、
柄谷行人の『内省と遡行』を読みました。
その内容はまったくおぼえていませんが、
路傍で息絶えていた行者の姿などを脳裏に思い浮かべながら、
そのいりくんだ思考をぼんやりたどったことがなぜか深く印象に残っています。

それから30年以上たって、
柄谷行人ほか『柄谷行人『力と交換様式』を読む』(文春新書、2023年)を読み、
おもしろさにひかれて、柄谷行人『世界共和国へ』(岩波新書、2006年)も
ぱらぱらとひととおり流し読みしました。

グローバルヒストリーや近代世界システム論を下敷きにしながら、
かつてのマルクス主義に見られた生産様式論をしりぞけ、
「交換様式」という新しい視点から、世界史を包括的にとらえようとしています。
背景には、近代の資本主義の限界という意識があることも語られています。

とはいえ、上の2冊は入門書のようで、このテーマに関する本丸の著書は、
『世界史の構造』(2010)、『力と交換様式』(2022)の2冊になるようです。
どちらもかなりの大著で、相当歯ごたえがありそうです。

このつづきはまた別の機会に。

   須賀 丈



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Minato Nakazawa
Sent: Thursday, July 6, 2023 8:47 AM
To: post @ bluesky-ml.org
Subject: [BlueSky:07115] 力を入れて講義資料を更新したので

環境自由大学青空MLの皆さん

中澤です。ずいぶん久しぶりの投稿になります。
蒸し暑い日々が続いていますがお元気でしょうか?

自分の講義資料は基本的に公開しているのですが、
今年度、講義内容の編成が変わったため、公衆衛生学の講義での
公害の回の資料と、環境・食品・産業衛生学の講義での地球環境問題
の回の資料を更新したので、お知らせします。
情報源もだいたいリンクしているので、何かのご参考になれば幸いです。

https://minato.sip21c.org/publichealth/2023-envhealth-2.pdf

https://minato.sip21c.org/envhlth/2023-globalenvironment.pdf



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