[BlueSky:07066] トリチウムについて (3) Re: トリチウムを含む汚染水は薄めればいいのか?

OTSUKA Kimio kimio-otsuka @ nifty.com
2020年 4月 22日 (水) 22:41:50 JST


大塚です。

経済産業省 資源エネルギー庁のスペシャルコンテンツ「安全・安心を第一に取り組む、福島の“汚染水”対策」では、「安全」についての明言はなく、安心できるとの記述もありませんでした。安心は個々人の心の問題なので、言及がなくでも構いませんが。

細野豪志 Blog の、「処理水について、決断の時は迫っている」と併せて読むと、「トリチウムを除去するには膨大な電力を要し、全ての処理水からトリチウムを除去するのは非現実的」なので、全部海に流してしまおうということのようです。

「全部は除去できないから、全部海に流す」というのが「処理水に関する解決方法が一つしかない」ということのようです。

 「全部海に流す」ことで節約できるお金は原発推進者のもの、風評被害を含めたリスクは地元民のものというあり方が不信感を増幅しているのではないでしょうか。

 コストをかけてでもトリチウムの放出量を減らすことはできると思います。
 例えば、トリチウムを濃縮して5倍の濃度にした処理水と、10分の1の濃度にしたものとに分けるのに必要な電力量は、すべて除去するよりはるかに少なくて、「非現実的」というほどのものではないと想像します。
 
 濃度を10分の1にしたものだけを海に流すことにすれば、放出されるトリチウムは10分の1以下になります。これだけで安心や信頼を得られるかはわかりませんが誠意は示せると思います。5倍の濃度にした処理水の量は元の量の5分の1足らずですので、敷地が一杯になるまでには数十年の猶予が生じます。
 さらなる誠意と安心に向けての提案は次の投稿で述べる予定です。
 
 上で示した濃度の組み合わせは一案にすぎません。コストが低くなる濃度の組み合わせを計算することも可能だと思います。
 
 必要な電力量は情報と技術を持つ資源エネルギー庁等に計算していただきたい。
 
 算出された電力量が「非現実的」か否かについて、感情的な水掛け論になっても不毛なので、私なりの基準を示しておきます。

 これまで福島第1発電所で使われた核燃料の製造に使われたエネルギーの100倍ぐらいまでは、すべて電気代に転嫁するのではなく、少しぐらいは関係者の自腹を切っていただく形で支出してもよいのではないでしょうか。
 
 一方、濃縮に必要なエネルギーの総量が当該の発電所で得られた電力量の総計よりも大きいのであれば、さすがに非現実的と認めざるを得ないと思います。
 これは、「原発の後始末に必要なエネルギーが得られるエネルギーより大きくなることがある」ということなので、原子力発電そのものが、「非現実的」であることを意味すると思います。
 

-- 
大塚公雄



main-mail.bluesky-ml.org メーリングリストの案内