[BlueSky:06973] Re: 本のご紹介:山野井徹『日本の土 地質学が明かす黒土と縄文文化』

Masayoshi fkshima @ orions.ne.jp
2015年 12月 13日 (日) 22:36:00 JST


須賀様

本の御紹介、ありがとうございます。

クロボク土の畑で野菜を栽培している就農者です。
クロボク土は、雨が降るとグチャグチャにぬかるみ、車両がスタッグしたりで、使いにくくなりますが、水はけは良く、深くまで
礫がないのでよく耕すことができ、野菜作りに使い勝手が良いと感じています。

さて、学識的な知識はありませんが、農業生産の立場から見て、クロボク土は、
植物の三大栄養素といわれる窒素・リン酸・カリのうち、リン酸を強く吸着して
しまい、植物が利用できないかたちにしてしまうと聞いています。
その原因が、火山灰由来の粘土鉱物によるものと言われ、生物由来の土壌母材よ
りも火山灰由来の土壌母材のほうにどうしても関心の中心が置かれてしまうとい
うこともあろうかと思います。
そのようなことから、生物由来の母材に視点を置いた説には、新鮮さを感じます。
また、日本の場合、本来は森林となるべくところが、クメボク土の分布からみて、
森林化しないように草原を維持していく力が過去に継続的に働いたことを示すこ
との説明としても大いに関心があります。
また、現在、森林となっているところ場所にもクロボク土が存在しており(スギ、
ヒノキ、マツの針葉樹林だけでなく、照葉樹の森林にもクロボク土がみられる場
所があります)、森林に囲まれた中で、過去の景観を想像することもあります。
このようなことから、私は、どのように森林化を引き留めていたか…などにかか
わる対立点にも関心があります。

なお、クロボク土でも、堆肥を投入しておけばリン酸の肥効を保てるので、私し
はそれほど問題にはしていません。
-- 
福嶋雅喜
fkshima @ orions.ne.jp
熊本県合志市


On Sat, 5 Dec 2015 07:56:58 +0900
"Takeshi SUKA wrote:

> 残される主な対立点は、クロボク土の母材が「火山灰」といえるか
> どうか、粘土鉱物と草の燃焼炭とどちらが大事か、火入れ説がどのくらい独創的なも
> のといえるのか、といったところにあるようです。
> 
> これらの対立点は、学問的には重要なのでしょうけれども、むしろ共通理解の部分こ
> そが、もっと広く知られていいようにわたしは思います。



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