[BlueSky:06925] セアカゴケグモの本の紹介

OTSUKA Kimio kimio-otsuka @ nifty.com
2013年 11月 30日 (土) 07:40:23 JST


bluesky, jissen, rika, rika-kyouiku の皆様
クロスポストをご容赦下さい

 発行は少し前になりますが、セアカゴケグモに関する本を紹介させていただき
ます。

清水裕行、金沢至、西川喜郎 著
「毒グモ騒動の真実 セアカゴケグモの侵入と拡散」
全国農村教育協会 \1800 + 税

 本書はセアカゴケグモとをはじめとする外来の毒グモについて、日本での発見
からさかのぼって経緯をまとめると共に、関連する幅広い知見と著者の考えを述
べたものである。

 目次は以下のようなものである。

第1章 セアカゴケグモの発見と波紋
第2章 ゴケグモとはどのようなクモか
第3章 1996年以降の分布拡大
第4章 社会現象のとしての「毒グモ騒動」
第5章 外来生物としてのゴケグモとのつきあい方
第6章 クモと日本人

 セアカゴケグモについては、死亡例もある毒グモということで、発見時点では
センセーショナルな取り上げ方をされた。一方、分布の拡大が続いているにもか
かわらずあまり報道されない現状もある。本書を読めば、具体的にどの程度の危
険があるのか等の点も含め詳しい情報を得ることができる。また、巻頭には日本
に侵入したゴケグモ類のカラー写真とそれを用いた検索があり、身近で見つけた
クモがゴケグモ類であるか否か、ゴケグモであればどの種であるかを見分けるこ
とができる。私が勤める大阪市立高校(枚方市)や自宅(枚方市)でもセアカゴ
ケグモが見つかっているが、本書によって同定と落ち着いた対処(かまれないよ
うに注意する必要があるが、あまり神経質になるほどではない)を取ることがで
きた。この巻頭の部分だけでも学校や公的な図書館に備える価値があると思われ
る。
 
 目次からわかるように、ゴケグモ類について日本で発見から現在に至る経緯を、
発見地や分布の拡大に関する情報にとどまらず、マスコミや行政をはじめとする
社会の反応も含めて幅広く論じた書である。この一冊で、日本におけるゴケグモ
類に関する知見の現状を知ることができる。また、第6章のようなクモと日本人
との関わりあいについても述べている。
 ゴケグモ類に関するハウツー的な手軽な情報を求める人は、求める情報以外の
内容が多すぎると感じられるかもしれないが、全体としては興味深い読み物とな
っていると感じる。

-- 
大塚公雄 



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