[BlueSky:07139] 福島第1原発事故 東電旧経営陣の責任否定 株主逆転敗訴

OTSUKA Kimio kimio-otsuka @ nifty.com
2025年 6月 8日 (日) 02:16:50 JST


ごぶさたしております。
大塚です。

株主側への賠償を認めた1審判決が高裁で一転して取り消されました。

「巨大津波は予見できず、取締役としての任務を怠ったとは認められない」と判断した。

そうです。すでに刑事責任もないという判決が最高裁で確定しているので、東電の経営者たちは責任を問われずにすむことになりそうです。

私は
1) 想定したくないことは想定しない
2) 想定外だと主張すれば責任も問われない
ということになってしまったように思います。

 1,000年あまり前の貞観地震津波では海岸から4km以上も内陸に津波で運ばれたと見られる堆積層が見つかっています。掘削を進めるとその下にも津波堆積物が見つかり、800年から1,000年前後の周期がこのような大津波が押し寄せたとみられています。
 このような知見は東日本大震災のかなり前に得られていました。例えば 2001年に発行された まなびの杜 16 号 ( http://web.bureau.tohoku.ac.jp/manabi/ からたどれます) で津波堆積物を調査した研究者がこのことを指摘して「そろそろ次の大津波が来そう」と警鐘を鳴らしています。
 
 絶対安全神話の布教書とも言える各種の文書には「あらゆる危険について検討している」かのような記述が見られるのですが・・・
 
 上記の 1), 2) が通用してしまった以上、原発の推進者にとっては「怖いものなし」という状況になってしまっているように思われます。
 
 2020年以降に東電の柏崎刈羽原子力発電所で様々な問題が生じた際に「福島の教訓が活かされていない」という指摘がありました。しかし、東電にとっての「福島の教訓」は上記 1), 2) だったのではないかと思います。
 刑事罰について、検察が2度にわたって不起訴とし、その後の強制起訴に対する無罪判決が2019年に一審でなされたことが想起されます。

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大塚公雄 


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